「大阪近郊区間」の大回り乗車は、(乗り鉄の間では)比較的よく知られていますよね(笑)。一方で、このページでは、大阪近郊区間と似ていてちょっと違う「ICOCAエリア」の大回りについてまとめてみました。しっかり理解して活用すれば、乗り鉄の楽しみが広がること間違いありません。参考にしていただければ嬉しいです。
※実際に乗車した記録は、こちらにアップしました。
大阪近郊区間と、ICOCAエリア、それぞれの大回り乗車
まず、それぞれの制度についての要点を確認しておきましょう。
大阪近郊区間の大回り乗車が可能な理由
「旅客営業規則」の157条2項に、以下のような記載があるため、最短経路の乗車券で、最短でない経路に乗車することが可能です。
大都市近郊区間内相互発着の普通乗車券及び普通回数乗車券(併用となるものを含む。)を所持する旅客は、その区間内においては、その乗車券の券面に表示された経路にかかわらず、同区間内の他の経路を選択して乗車することができる。
(引用元:「JRおでかけネット」(2022年4月2日現行の旅客営業規則、第4章のPDF))
ICOCAエリアの大回り乗車が可能な理由
一方で、ICOCAエリアについても、同様な規定があります。
「ICカード乗車券取扱約款」19条2項に、下記の記載があるので、指定された範囲内では、実際の経路にかかわらず、最安の経路の運賃で計算されます。
前項の規定により減額する片道普通旅客運賃の運賃計算経路は、別表1に定める実線及び二重線ならびに点線の区間を含む範囲において片道普通旅客運賃が最も低廉となる経路とします。(19条2項)
第1号の規定により乗車する場合の乗車区間の経路については、当該乗車区間に対する片道普通旅客運賃の運賃計算経路にかかわらず、利用エリア内に限り他の経路を乗車することができます。(20条1項3号)
(引用元:「JRおでかけネット」(2022年6月25日現行のICカード乗車券取扱約款のPDF))
大阪近郊区間とICOCAエリアの大回り乗車の違い
大阪近郊区間とICOCAエリアの大回り乗車の違いは、大きく下記の2つです。ちょっと間違えると大回り乗車が許容される条件から外れる(不正乗車の可能性がある)ため、混同せず、それぞれ正確に理解することが重要です。
(1)大回り乗車の対象となる区間が違う。
大阪近郊区間と関西圏のICOCAエリアは、大部分が重複していますが、一部異なる部分があります。例えば、
・加古川線の一部区間は大阪近郊区間内だがICOCAエリア外
・播但線や、福知山周辺の山陰本線・福知山線は、大阪近郊区間外だがICOCAエリア内
などが主なところです。
(2)利用できる乗車方法(乗車券 or 交通系ICカード)
ICOCAエリアの大回り乗車は、交通系ICカードでしか利用できません。一方、大阪近郊区間の大回り乗車は、乗車券を利用するのが原則です(ICOCAエリア内のみの利用であれば交通系ICカードも利用可能ですが、その場合はICOCAエリアの大回りをしていると理解した方が適切だと思います)。
【具体的な事例】乗車券とICカードで、価格差が約2倍になることも!?
乗車券とICカードで大きな違いが出る事例を、ここで1つご紹介します。
加古川から尼崎経由(山陽本線・東海道本線・福知山線)で福知山へ向かう場合。
(a)ICOCAを利用すると・・・
最短最安経路の加古川線経由で運賃計算されるので、1520円です。(加古川も福知山もICOCAエリアなので、最安経路で運賃が計算されます。)
(b)紙の乗車券を利用すると・・・
乗車経路通りの尼崎経由で運賃計算されるので、3080円になります。(福知山は大阪近郊区間ではないので、大阪近郊区間の特例は適用されません。他に最短経路で計算するような規定もないため、乗車した経路で運賃が計算されます。)
※ちなみに、紙の乗車券の場合、大阪近郊区間を活用して、「加古川→谷川(990円、大阪近郊区間内)」「谷川→福知山(590円、近郊区間外)」の2枚の乗車券を使用すれば、安くすることができます。
(2022年7月現在)
実際に私が行った、ICOCA大回り
播但線に乗ってみたくて、出かけた時のルートがこちら。姫路から三ノ宮まで、比較的短いコースです。
姫路(播但線)和田山(山陰本線)京都(東海道本線)三ノ宮
大阪近郊区間の大回りが大好きな私。草津線や和歌山線は何度も何度も乗っているのですが、播但線や山陰本線はかなり久々の乗車で、とても新鮮でした。
実際に乗車した記録はこちら。
以上、ICOCAエリアの大回りに関して、私の分かる範囲で正確に記載したつもりです。もし、分かりにくい点や間違っている点などがあれば、教えていただけると嬉しいです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。